関連サービス/製品:Dell EMC PowerScale (アイシロン)
日本を代表する広告・マーケティングサービス企業として躍進を続ける博報堂DYグループ。その事業戦略の一翼を担う総合制作事業会社として、多彩なプロモーション/マーケティングサービスを提供しているのが博報堂プロダクツだ。12の事業本部と3つの支社、さらに9つのグループ会社からなる同社では、「こしらえる」という創業以来ブレない力を武器に、顧客企業の課題解決を強力に支援。デジタルテクノロジーやデータの力も最大限に活用し、これまでに前例のない新たなプロモーション/マーケティングの世界を切り拓き続けている。
その同社のビジネスを、ICT面から下支えしているのが情報システム室だ。「事業への貢献を果たしていく上では、バイモーダル、つまり『守りのシステム』と『攻めのシステム』の両輪で環境整備を進めていく必要があります。そこで当部門でも、現場の要望やニーズを踏まえて、積極的な提案活動を実施。ユーザーがより快適に働ける環境づくりを目指しています」と語るのは、博報堂プロダクツ 情報システム室 情報システム二部 部長 木本 邦史 氏。同社が掲げる「こしらえる」の理念は、情報システムの領域においても連綿と受け継がれていると続ける。
そうした取り組みの一環として、今回同社では、フォト、映像、動画、CGなどの制作業務に欠かせないファイルサーバーの再構築に着手した。博報堂プロダクツ 情報システム室 情報システム二部 インフラマネジメントチーム ITプロデューサー 石森 圭 氏は、取り組みの背景を「当社では様々なクリエイティブ作品を制作していますが、従来はそのデータを保存するファイルサーバーが現場部門ごとに導入されていました。このため、社内に大量の機器が設置されていた上に、運用管理についても現場の自主管理だったり、外部業者への委託だったりと、それぞれ異なっていました」と振り返る。
サイロ化したストレージが社内に乱立するのは、リソースの効率的な利用という面でも、ガバナンス/運用管理の面でも、あまり好ましいことではない。そこで、同社では、まずクラウドストレージの導入を決定。これにより、ある程度の改善は図れたものの、課題を完全に解決するまでには至らなかったという。「その最大の理由は、クラウドストレージのパフォーマンス不足です。3DCGのレンダリング作業などでは相当なI/O性能が要求されますが、クラウドストレージではこれを満たすことができなかったのです」と石森氏は続ける。オフィス文書などのデータはクラウドストレージで良いとしても、クリエイティブ業務に携わるユーザーに対しては、より高速で安定的なストレージ環境が不可欠となる。そこで今回、新ファイルサーバーの導入に踏み切ったのである。
具体的な製品選定にあたっては、大量のデータを余裕で格納できる大容量と、今後の容量増加に即応できる拡張性、業務を止めない高信頼・高可用性などの要件が掲げられた。これらをクリアできる製品として新たに導入されたのが、デル・テクノロジーズのスケールアウトNAS「Dell EMC PowerScale(Isilon)」(以下、PowerScale)である。「容量を柔軟に拡張できるスケールアウトNASであることに加えて、『SyncIQ』のような遠隔レプリケーション機能が利用できる点も良かったですね。これなら重要なデータを遠隔地データセンターで保全できますので、BCP強化にも役立ちます」と石森氏は語る。さらに、3DCG制作会社やアニメーション作会社など、クリエイティブ業界で数多くの導入実績を誇る点も高く評価したとのことだ。
また、木本氏も「採用時のポイントでもう一つ重視したのが、当社クライアントの大多数を占めるMacにきちんと対応できるかという点です。実はこれまでも何度かファイルサーバー改善に取り組んだのですが、いずれもMac対応がネックでうまくいきませんでした。それだけに、『PowerScaleなら何の問題もない』とデル・テクノロジーズから聞かされた時には少々驚きましたね」と語る。
こうして採用されたPowerScaleは、2021年6月より本番稼働を開始。実際の導入作業、また旧環境からのデータ移行作業は、PowerScaleの豊富な構築経験を有するテクマトリックス(株)が担当。「本番稼働後の保守・サポートも含め、手厚い支援を提供してもらえましたので、スムーズに導入を進められました」と石森氏は語る。
システム構成面での工夫としては、本番環境用にハイブリッドタイプの「Dell EMC Isilon H500」、遠隔バックアップ用にアーカイブ用途向けの「Dell EMC Isilon A200」と、異なるモデルを利用している点が挙げられる。石森氏はその理由を「災対サイト側の環境はそれほど性能を要求されませんので、このような構成を取ることでコストを抑えられるのは大きなメリット。もし、より高い性能が必要になった場合も、PowerScaleなら既存のA200にH500を増設することで対応できます」と続ける。
この結果、各部門で稼働していた12台の個別ファイルサーバーを1クラスタのPowerScaleに統合することに成功。運用管理負担も大幅に軽減されることとなった。「以前は各ファイルサーバーの障害対応などに追われるケースも多かった。しかし現在では、PowerScaleが安定稼働してくれているおかげで、全く手が掛からなくなっています」と木本氏は満足げに語る。
さらに大きいのが、ユーザーからのリクエストによりスピーディに対応できるようになった点だ。「制作業務に使用するデータも年々大容量化していますので、現場からは頻繁に『もっと多くの容量が欲しい』との要請が寄せられます。しかし従来のようなサイロ化した環境では、すぐに増設・拡張を行うわけにもいきません。その点、PowerScaleであれば、単一のストレージプールからすぐに必要な領域を提供できますし、環境全体をリニアにスケールさせることもできます。今後のビジネスを考えれば、こうした環境を整備できた意義は大きい」と木本氏は力強く語る。
加えて、もう一つ見逃せないのが、今後のマイグレーションに関する心配が無くなった点だ。博報堂プロダクツ 情報システム室 情報システム二部 インフラマネジメントチーム ITプロデューサー 杉山 祐貴 氏は「旧ファイルサーバーからのデータ移行を担当したのですが、今回はそれぞれの環境を調査して容量を把握したり、実際のデータ移行を行ったりと、とにかく大変な作業でした。これもPowerScaleであれば、新しいノードを追加して、自動的にデータ移行が行われた後に古いノードを抜くだけで済みます。手間を掛けずにマイグレーションが実施できるのは、我々としても非常にありがたいですね」と語る。
社名:株式会社博報堂プロダクツ (HAKUHODO PRODUCT'S INC.)
設立:2005年10月1日
資本金:1億円[株式会社博報堂(100%出資)]
社員数:1,911名(2021年4月現在)
本社所在地:〒135-8619 東京都江東区豊洲5-6-15 NBF豊洲ガーデンフロント
事業概要:博報堂グループの総合制作事業会社。
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
部長
木本 邦史 氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
インフラマネジメントチーム
IT プロデューサー
石森 圭 氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
インフラマネジメントチーム
IT プロデューサー
杉山 祐貴 氏
株式会社博報堂プロダクツ
情報システム室
情報システム二部
インフラマネジメントチーム
IT プランナー
二階堂 奏太 氏
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