活用場面の増えるスマートデバイス、いかにガバナンスを効かせるかが課題に
主要な通信キャリアのパートナーとして、デジタル時代に不可欠な通信ネットワークの敷設やメンテナンスを担ってきたエクシオグループ。
近年は5Gをはじめとする次世代通信の普及を支え、新型コロナウイルスを機にいっそう高まったテレワーク需要を満たすため、首都圏はもちろん全国各地で事業を展開している。
文字通りデジタル社会の基盤である通信インフラをさらに支える存在として、エクシオグループはその時々のトレンドを踏まえながらセキュリティ対策に取り組んできた。まず端末の保護とセキュリティゲートウェイによる境界セキュリティの整備や従業員教育といったベースラインを整備していったが、事業のデジタル化と高度化する脅威を前に、いっそうの対策が必要であると判断した。
具体的には、デジタルトランスフォーメーション戦略部の中に情報セキュリティ室を設け、全社的なルールの見直しを進めるとともに、セキュリティインシデントの対応に当たる「EXIO-SIRT」のほか、日々のセキュリティ監視を担うSOCといった組織を整備してきた。
それらを具現化する技術的な対策についても強化を進めている。
コロナ禍でリモートワークが普及する前から、エクシオグループでは徐々にリモートワークが広がりつつあった。「かつて、業務用端末は社内だけで活用していました。しかしこの10年でスマートデバイスの活用が広がり、しかも社外に持ち出して使用する機会が非常に増えてきました」(エクシオグループDX戦略部担当課長セキュリティイノベーション担当兼情報セキュリティ室 高馬大輔氏)。
持ち出しPCについてはSSL-VPNでデータセンターのゲートウェイを経由し、UTMなどの機器でチェックを経た上でクラウドサービスに接続するルールとし、セキュリティを担保していた。問題は、リモートワークが広がるにつれてSSL-VPN装置や回線の負荷が高まり、ボトルネックが顕在化したことだ。そもそも折り返し通信が発生するネットワーク構成となっており、非効率であるという課題もあった。
オフィスで端末を利用する場合ならばPCの種類も管理できる上に、ゲートウェイ部分で集中的に監視し、社内ルールを徹底できる。だが、社外に持ち出され、さまざまな環境で使われるPCや多様なスマートデバイスを相手にルールを徹底するのは難しく、マルウェア感染などのリスクにどう対処するかが課題となっていた。スマートデバイスについては事業部や部署ごとに導入していたこともあり端末は多様で、iPadもあればAndroidもあり、OSのバージョンもまちまちといった具合だ。この環境で、どのようなデバイスでどんなサービスをどう活用しているかといったトレーサビリティを確保するのは難しく、本意ではないが業務を制限せざるを得ない状況だった。