
F5 XCで実現する証明書自動更新機能のご紹介
はじめに
SSL/TLS証明書の最大有効期限の段階的な短縮スケジュールについて以前弊社ブログで紹介しました。今回はそのブログに関連する内容となりますので、まだご覧になっていない方は、まず下記のブログを参照いただけると幸いです。
上記ブログでは、SSL/TLS証明書の最大有効期間の短縮スケジュールおよびACMEの紹介、F5の3つのプロダクトにおける証明書有効期限短縮に関する対応状況についての解説を行いました。
本執筆時点(2026年8月)ではすでに段階的な証明書有効期限の短縮が進み、有効期限は最長で200日(2026年3月15日~)となっています。すでに期限短縮の対応を済ませたお客様も多い一方で、対応方針を検討中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本ブログでは、上述のように証明書の期限短縮に向けた対応を検討中のお客様に、F5 Distributed Cloud Services(以降、F5 XC(※))で提供している証明書自動更新機能をご紹介いたします。
(※)F5社では、F5 XCコンソールを通じて利用可能なSaaS型プラットフォーム「F5 XC」を提供しています。F5 XCには、ロードバランシング(HTTP Load Balancer)、CDN、WAAP(WAF、DDoS対策、Bot対策、API保護の4つの機能を統合したセキュリティ機能)といった機能が統合されており、「Essentials」と「Enterprise」の2つの年間サブスクリプションパッケージからお客様のニーズに合ったパッケージを選択いただけます。
F5 XC WAAPで提供される様々な機能についても弊社ブログでご紹介しておりますので、こちらも併せてご覧ください。
F5 XC では、下記の2通りの方式からSSL/TLS証明書を用いたHTTP Load Balancerの設定を行うことが可能です。
-カスタム証明書を使用する方式
- Automatic Certificateを使用する方式
カスタム証明書を使用する方式
予め取得した証明書をF5 XCのLoad Balancerに手動で登録する従来通りの設定方法になります。本執筆時点(2026年8月)ではこの方法で設定した証明書を自動更新する機能はありません。
コミュニティによって公開されているTerraformベースのツールを利用することで、証明書発行やF5 XC Load Balancerへの証明書適用を自動化できます。
ただし、当該ツールはF5公式の提供物ではなくコミュニティーサポートのツールとなります。本ブログ執筆時点でF5 contributed softwareです。メーカおよび弊社のサポート対象外であること予めご了承ください。
Automatic Certificateを使用する方式
Let's Encryptによって発行される証明書を利用し、F5 XCが証明書の取得、更新、およびLoad Balancerへの適用を自動的に実施する設定方法になります。
本機能を利用するためには、対象ドメインがXC DNSへ委任されていること、またはXC DNSで管理していないドメインの場合はDNSプロバイダー側で必要なCNAMEレコードが作成されている必要があります。
なお、証明書の発行および更新に必要な DNS レコードは、対象ドメインが XC DNS に委任されている場合、XC が自動的に作成・管理します。そのため、お客様による手動登録は不要です。一方、XC DNS に委任されていない場合は、お客様側の DNS 環境で必要な CNAME レコードを作成する必要があります。
F5 XCの証明書自動更新機能のご紹介
最初にLet's Encryptについて簡単に説明します。
Let's Encryptとは無料で利用できるSSL/TLS証明書を発行する認証機関です。F5 XCはLet’s Encryptと連携し、証明書の取得、更新、およびHTTP Load Balancerへの適用を自動化します。
Let’s Encryptで証明書発行を行う際には、ACME(Automated Certificate Management Environment)と呼ばれるプロトコルが利用されます。ACMEを利用することで、証明書の発行から更新までを安全かつ自動的に行うことができます。
今回は、「hogehoge.np3-test.com」を公開する HTTP Load Balancer を作成するケースを例に、F5 XC の Automatic Certificate の動作を説明します。
なお、証明書発行時の動作は、
-XC DNSが権威DNSとなっている場合
-お客様管理DNSが権威DNSとなっている場合
で設定方法が異なります。
-XC DNSを権威DNSとしている場合
HTTP Load Balancer作成時に「HTTPS with Automatic Certificate」を選択し、「hogehoge.np3-test.com」をドメインとして設定すると、F5 XCはLet's Encrypt に対して証明書発行要求を送信します。
Let's EncryptはDNSチャレンジ(※)によって対象ドメインの管理権限を確認します。
(※) DNSチャレンジとは、DNS上に確認用の情報を設定し、認証局がその情報を参照することでドメインの管理権限を検証する仕組みです。
DNSチャレンジでは、Let's Encrypt が次の値を検証します。
_acme-challenge. hogehoge.np3-test.com
DNSチャレンジ要求を受けたF5 XCは「_acme-challenge. hogehoge.np3-test.com」に対応したDNSレコードを作成し、DNS の準備が整ったことをLet's Encryptに通知します。
Name | Type | Value |
_acme-challenge. hogehoge.np3-test.com | CNAME | xxxxxxxx.autocerts.ves.volterra.io |
Let's EncryptがDNSチャレンジを実施し、検証に成功するとF5 XC は証明書を取得し、HTTP Load Balancerへ自動的に適用します。
上記フローを簡単にまとめると下図のようになります。

本執筆時点で発行された証明書には90日間の有効期限がありますが、F5 XC は証明書の有効期限を監視し、期限が近づくと図のフローを自動的に実行して新しい証明書を取得・適用します
-お客様管理DNSを権威DNSとしている場合
証明書発行の流れは基本的に同じですが、F5 XC はお客様が管理する権威DNSへ直接レコードを登録できません。
そのため、F5 XC が表示するDNS レコードをもとに、お客様側で権威DNSへCNAMEレコードを作成する必要があります。
Name | Type | Value |
_acme-challenge. hogehoge.np3-test.com | CNAME | xxxxxxxx.autocerts.ves.volterra.io |

お客様管理DNSへ上記レコードを登録すると、Let's Encrypt はこのレコードを参照してドメインの管理権限を確認します。
検証成功後は、F5 XC が証明書を取得し、HTTP Load Balancerへ適用します。以降の証明書更新時も同様の仕組みで自動更新が実施されます。
F5 XC の証明書自動更新を利用することで、管理者による証明書の取得、適用、更新作業を自動化し、証明書運用負荷を大幅に削減できます。
証明書自動更新機能の設定方法
-XC DNSを権威DNSとしている場合
Home > DNS Managementで作成したDNSレコードのAllow Application Load Balancer Managed Recordsにチェックを入れ、XCがDNSゾーンに関連するHTTP Load BalancerのDNSレコードを管理できるようにします。

Home > Web App & API Protection > Load BalancersからAdd HTTP Load Balancerをクリックします。
Domains and LB TypeのDomainsにドメインを設定して、Load Balancer TypeをHTTPS with Automatic Certificateに指定します。

設定が完了したら、Add HTTP Load Balancerをクリックします。
証明書の発行処理中は、Validity欄にProvisioningと表示されます。

証明書発行が完了するとValidityがValidに更新されます。

作成された証明書を確認すると、証明書はLet's Encryptが発行し、有効期限が90日になっていることが確認できます。

-お客様管理DNSが権威DNSとなっている場合
HTTP Load Balancer作成までの手順はXC DNSを権威DNSとしている場合と同じですが、生成されたDNSレコードを権威DNSに登録する必要があります。
Home > Web App & API Protection > Load BalancersからAdd HTTP Load Balancerをクリックします。
HTTP Load Balancerの…をクリックし、Manage Configurationをクリックします。

ページの左側にあるDNS Recordsをクリックし、表示されるDNSレコードを権威DNSに登録します。

おわりに
今回はF5 XCの証明書自動更新機能をご紹介いたしました。
SSL/TLS証明書の有効期限短縮が進む中で、証明書の更新漏れによる証明書の有効期限切れはサービス停止やブラウザ警告によるサービス信頼性の低下につながる可能性があります。
そのため、これまで以上に確実な証明書管理が求められています。F5 XCの証明書自動更新機能を利用することで、証明書の取得、適用、更新を自動化でき、管理者の運用負荷を軽減しながら、安定したHTTPSサービス運用を実現できます。
また、F5 XCには、今回ご紹介した機能以外にもWebアプリケーションを保護、配信、運用するためのさまざまな機能があります。関連情報は弊社ブログでもご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
F5 XCにご興味ございましたら、以下よりお気軽に弊社までお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。



