
F5 XC で利用可能なCDNのご紹介 < F5 Distributed Cloud Services Content Delivery Network >
はじめに
2026/6/15にF5 XC(※)のHTTP Load BalancerにおけるCDN(Content Delivery Network)機能がGA(Generally Available)となりました。
これにより、現在F5 XC HTTP Load Balancerをご利用中のお客様はCDNを有効化することができます。
(※)
F5社では、F5 XCコンソールを通じて利用可能なSaaS型プラットフォーム「F5 Distributed Cloud Services(F5 XC)」を提供しています。F5 XCには、ロードバランシング(HTTP Load Balancer)、CDN、WAF、DDoS対策、API保護といった機能が統合されており、「Essentials」と「Enterprise」の2つの年間サブスクリプションパッケージからお客様のニーズにあったパッケージを選択いただけます。
上述の通り、いずれかのパッケージをご契約いただくことで今回紹介するCDNだけでなくF5 XC WAAP(F5社が提供するクラウドWAF)もご利用いただけます。WAAPで提供される様々な機能についても弊社ブログでご紹介しておりますので、こちらも合わせてご覧ください。
ここで、CDNについて簡単に説明いたします。
CDNとは、Webサイトの画像、HTMLファイルなどのコンテンツを、利用者に近い場所にあるキャッシュサーバーから配信する仕組みです。世界中に配置されたキャッシュサーバーにコンテンツをキャッシュすることで、エンドユーザは本来の遠くにあるサーバー(オリジンサーバー)からではなく、近くのサーバーにキャッシュされたコンテンツを受け取ることができます。それにより、下記のようなメリットがもたらされます。
・Webサイトの表示速度向上
上述の通りデータ転送距離が短くなることで、ページの表示速度が速くなる。
・サーバー負荷を軽減
アクセスの多いコンテンツをキャッシュサーバーで配信するため、オリジンサーバーへのリクエスト数を減らせる。これにより、サーバーの負荷を軽減する。
・アクセス集中(一時的な過負荷)に対する耐性
一過性のイベントや、期間限定のキャンペーンなどでアクセスが急増した場合でも、CDNが複数のキャッシュサーバーで処理を分散するため、サイトの応答時間や可用性の低下を最小限にとどめる。
CDNのメリットは他にもオリジンサーバーへのDDoS攻撃対策など、セキュリティ機能も挙げられます。
CDNの概要説明はここまでとして、続いてF5 XCで利用できるCDNについて内容を確認していきたいと思います。
F5 XCで利用可能なCDNのご紹介
CDNの仕組み、導入メリットは前項で述べたので、ここではF5 XC CDNについて解説します。
まず、前述の各サブスクリプションパッケージにCDNが含まれますので、XCを契約いただいているお客様は追加のオプション契約などは必要とせずにCDNを利用いただけます。また、F5 XC CDNの導入にあたり、アーキテクチャの再構築、新規導入、追加サービスは一切不要です。すでに導入済みのHTTP Load BalancerでCDNを有効化するだけで、HTTP Load Balancer上でCDNが有効になります。
必要なサービスやアプリケーションだけにCDNを適用できるため、柔軟な運用が可能です。さらに、公開中のコンテンツを迅速に更新・削除できる仕組みを備えており、不要になった情報は短時間で配信停止できます。キャッシュの保持期間や適用ルールも細かく設定できるため、コンテンツの配信速度と最新性のバランスを最適化できます。
さっそく、実際の設定方法と、動作結果を見ていきましょう。
F5 XC CDN設定方法
【事前確認】
CDNを有効化する前に、まずキャッシュ可能なリクエストとデータ転送量を特定することで、CDNキャッシュを有効にした場合の潜在的なメリットを推定することができます。
Home > Web App & API Protection > Overview:Performance
からCDNを有効にしたいHTTP Load Balancerを選択し、Dashboard画面からCacheable Content を確認します。
・キャッシュ可能なリクエスト割合

・キャッシュ可能なデータ転送量

このキャッシュ可能なコンテンツウィジェットは、CDNオフロードの予測値を提供し、CDN導入の意思決定を行う際にTCO削減額を推定することができます。
具体的には、ウィジェットでリクエストのX%がキャッシュ可能であると表示されている場合、CDNを有効にすると、現在のオリジンサーバーが処理しているリクエスト・転送データのうちX%をF5エッジ(キャッシュサーバー)へオフロードできることを示します。これにより、オリジンサーバーが処理するリクエスト数をX%削減でき、オリジンサーバーで発生するデータ転送料金を削減することができます。
ウィジェットに表示されている現在の1日あたりのキャッシュ可能なデータ転送量に、クラウドへのデータ転送量を掛け合わせると、月間の節約額が概算されます。
例:
アプリケーションが月間10TBのデータを処理し、そのトラフィックの70%がキャッシュ可能な場合、CDNを有効化することで、オリジンサーバーからの月間最大7TBのデータ送信をF5 CDNエッジにオフロードできます。これは、CDNを有効化することで毎月のクラウドデータ転送コストを最大70%削減できることを意味します。
なお、キャッシュ可能なコンテンツには条件がありますので、合わせてご確認ください。
https://docs.cloud.f5.com/docs-v2/content-delivery-network/how-to/cdn-mgmt/cdn-cache-rules
・HTTP request methods must be one of GET or HEAD.
・HTTP response codes must be one of 200, 206, 301, or 302.
・Response must contain one of the cache directives cache-control or expires.
CDNを有効化するメリットが確認できたところで、実際にCDNを有効化してみましょう。
先ほど確認したCacheable Content 画面下部のConfigure をクリックしてHTTP Load BalancerのCDN有効化画面に遷移します。

デフォルトではCDNはDisabledとなっています。
これをEnableに変更します。
View Configurationをクリックすることで、キャッシュのTTLやカスタムルールの設定を行う事が可能です。ここでは項目の確認のみ行い、デフォルトの設定のまま先に進むのでページ下部Apply をクリックし、HTTP Load Balancerの設定画面に戻ります。

最後にHTTP Load Balancer画面下部のSave HTTP Load Balancer をクリックし、設定を保存します。

Save後、Dashboard画面に戻ります。
Cacheable Content でCDN Cachingが Configuredになっていることが確認できます。

これでCDNの有効化は完了です。
次項で、設定したCDNの動作を確認していきましょう。
F5 XC CDN動作確認
CDNを有効にしたHTTP Load Balancerにアクセスした結果が下記です。

上記から、初回アクセス時はx-cache-status: MISS となっているものの、2回目~4回目のアクセスはx-cache-status: HIT となり、キャッシュサーバーから応答していることが分かります。
ここでオリジンサーバーログのログを見てみると、下記のように一度のみオリジンにアクセスしていることが確認できました。

リクエストログからも、キャッシュにHITしていることが確認できます。

このように、CDNを有効化することでオリジンサーバーへのリクエストを削減することができることが確認できました。
今度は特定のPathはキャッシュしない、といった除外ルールの設定を行った場合の動作の違いを見ていきます。これはカスタムルールを作成することで実現します。
カスタムルールを作成する際は、
Home>Web App & API Protection>Manage:CDN>CDN Cache Rules
からAdd CDN Cache Ruleをクリックします。

ルールに一意の名前を付け、Expressions(ルールに合致する条件)を設定します。
なお、Name欄が2つあり混乱するかもしれませんが、以下の違いとして理解いただければ
問題ありません。
Name:メタデータ(XC内のオブジェクト)名
Rule Name:Cacheルール名
名前を付けたのち、Expressions欄のAdd Itemをクリックします。

ここでもExpression Nameの設定が必要となりますが、これはCacheルールに関連付けるルール毎の名前とご認識ください。
適切な名前を付けたら、Terms(条件)の設定を行うためにAdd Itemをクリックします。

ここで条件を設定します。
Path MatchはデフォルトではEqualsが選択されていますが、Does Not EqualやContainsなど複数の条件から選択することが可能です。
選択可能な項目を一例として下記に示します。
デフォルトのPath Match/Equalsの場合、ルールに合致される場合はファイル名まで含めて指定された値と完全に一致させる必要があります。
その他、クエリパラメータやキャッシュヘッダー毎に条件を指定することも可能です。

ルールを設定したら適用し、Metadata 画面まで戻りSave CDN Cache Rulesをクリックし、設定を保存します。
今回は検証用に/xxxxxx/cdn1.html に合致した場合にCacheをBYPASSするルールを作成しました。


このルールをHTTP Load Balancerに設定します。

この状態で、/xxxxxx/cdn1.html(BYPASS)と/xxxxxx/cdn2.html(Not BYPASS)にアクセスした結果が下記となります。
・/xxxxxx/cdn1.html(BYPASS)

・/xxxxxx/cdn2.html(Not BYPASS)

/xxxxxx/cdn1.htmlはBYPASSされ、/xxxxxx/cdn2.htmlはキャッシュされて2回目以降はキャッシュ応答していることが確認できました。また、BYPASS時の平均応答速度は約87.08 ms、キャッシュ時は約 65.81 msとなっており、検証用の軽量コンテンツの場合でも応答速度に違いがみられることも確認できます。
おわりに
今回はF5 XCのCDNをご紹介いたしました。
F5 XCをご契約済みで、HTTP Load Balancerを運用中のお客様に、本記事を通じて簡単な設定でCDNを有効化できることをお伝えできていれば幸いです。また、F5 XC未契約のお客様もF5 XCを契約頂くことでCDNを容易に導入可能です。
・既存CDNサービスのコストに課題を感じている
・CDNとクラウドWAFの運用を統合したい
などのお悩みを抱えている企業様がございましたら、F5 XCでWAF/CDNの運用を一本化することを検討頂ければ幸いです。
WAF機能についても弊社ブログでF5 XCで提供するWeb Application & API Protection (WAAP)機能を様々ご紹介しておりますので、こちらも是非ご覧ください。
F5 XC WAAPにご興味ございましたら、以下よりお気軽に弊社までお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。



