関連サービス/製品:Dell EMC PowerScale (アイシロン)
「Dell PowerScale」を活用することで、クリエイターの制作業務を支える高性能・大容量ストレージ基盤を確立できました。
容量も従来の2 倍に増えましたので、今後増加が見込まれる4K 映像作品に対しても、余裕で対応できることと考えています。
株式会社デジタル・フロンティア
システム室 室長
倉地 忠彦 氏
総合映像プロダクションの株式会社デジタル・フロンティア(以下 デジタル・フロンティア)では、「Dell PowerScale」による大容量ストレージ基盤を映像制作業務に活用している。しかし4K 映像作品の制作案件が増加する中、より多くの容量とパフォーマンスが求められるようになった。そこで今回、同社では、ストレージ基盤のさらなる強化・改善に取り組むこととなった。
・映像制作用ストレージ基盤の容量を1PB から2PB へと倍増
・システムのパフォーマンスを従来の4 倍以上にアップ
・圧縮・重複排除機能の活用により約30% の容量削減に成功
・大容量4K 映像作品の制作にも余裕で対応することが可能に
東京都・渋谷区に本社を置くデジタル・フロンティアは、高い技術力と卓越した表現力で日本の映像業界をリードする総合映像プロダクションである。同社では「デジタル・フロンティアブランドの作品を世界中に発信し、国境に関係なく、ひとりひとりに驚きと感動を与えること」の企業ミッションの下、映画やTV ドラマ、ゲーム・ムービーなど、実写、アニメ問わず、幅広いフィールドでビジネスを展開中だ。
ハイクオリティな映像を創り上げるべく、各種の機材や設備についても最先端の環境を整備。特に、同社が保有するモーションキャプチャー・スタジオ「オパキス」は、業界最高水準の高解像度カメラを100 台設置。25m× 25m の広大なスタジスオペースも有するなど、アジアでも最大級の規模を誇っている。
同社のICTインフラを担う情報システム部門でも、業務環境の整備・拡充を積極的に推進。デジタル・フロンティア システム室 室長 倉地 忠彦氏は「クリエイターの能力を最大限に発揮できる環境を提供することが我々の役目。現場の様々な要望にも耳を傾け、より快適に業務に取り組んでもらえるよう努めています」と語る。ちなみに同部門では、リモートワークの実現に向けた検証にも早くから着手。そのおかげで、コロナ禍への対応もスムーズに行えたとのことだ。
こうした同部門の取り組みの中でも、特に注目されるのが、2018 年に実施されたストレージ基盤の刷新プロジェクトだ。倉地 氏はその背景を「当時の制作環境では、10TB ~ 30TB 程度のファイルサーバーを複数台稼働させていました。この容量では作品一本分のデータを1 台に載せることができないため、作業に応じてファイルサーバーを使い分ける必要がありました。また、レンダリング作業が始まるとレスポンスが著しく低下し、なかなかファイルにアクセスできないケースもありました」と語る。
各ファイルサーバーの容量がすぐに逼迫してしまうことから、不要になったデータを消去してもらうよう、ユーザーにお願いせざるを得ない場面もあったとのこと。デジタル・フロンティア システム室 森田 誠 氏は「そうした状況の中、新たに大型作品の制作プロジェクトが決定。既存の環境でこれに対応するのはもはや不可能と考え、ファイルサーバー環境の抜本的な見直しを図ることとしました」と説明する。
ここで新たに採用されたのが、デル・テクノロジーズのスケールアウトNAS「Dell PowerScale(Isilon)」( 以下、PowerScale)である。倉地 氏は製品選定のポイントを「大量の大容量データをワンボリュームで管理できることに加え、後々の増設・拡張やマイグレーションもシームレスに行える点が決め手となりました」と語る。また森田 氏も「ゼロから全く新しい製品を導入するとなると、我々の方で事前検証やテストを行う必要があります。その点、PowerScale は映像業界でも数多くの利用実績がありますので、安心して導入できると考えました」と続ける。
こうしてストレージにまつわる課題を無事解決した同社だが、その後また新たな難題に直面することとなった。それは4K 映像作品の増加である。同社では、2021 年に動画配信サービスの世界的大手であるNetFlix 社と複数年・複数作品にわたり制作協力を行う業務委託契約を締結している。これにより、4K 映像の制作ボリュームが以前より大幅に増加することは必至。もちろん、NetFlix 社以外の作品でも、今後は4K がメインになってくると予想される。
「映像が4K になると、一作品あたりのデータ量も概ね4 倍以上に増加します。既存のPowerScale もそろそろリソースが不足していましたので、これを機にストレージ基盤のさらなる増強に踏み切ることとしました」と倉地 氏は語る。
今回の増強にあたっては、既存環境の1PB に加えて、もう1PB 分容量を増やすとの方針が立てられた。これを実現する製品として追加導入されたのが、ハイブリッドモデルの「Dell Isilon H5600」である。森田 氏は「前回導入の際には、ハイブリッドモデルの『Dell Isilon H500』+アーカイブモデルの『Dell Isilon A200』で環境を構築しています。今回も容量を増やすだけならA200 で良かったのですが、制作現場からシステムの性能向上を望む声も挙がっていたため、上位モデルのH5600 を採用することとしました」と説明する。なお、実際の導入・構築作業については、前回に引き続きテクマトリックス( 株)が担当。「テクマトリックスはPowerScale の導入実績が豊富で製品にも精通していますので、安心してお願いできました」と倉地 氏は続ける。
既存環境への増設作業もスムーズに進んだとのこと。「ファームウェアのバージョンアップ作業などで多少の手間は掛かりましたが、それほど大きな苦労を強いられるようなことはありませんでしたね。現場の制作業務に影響を与えることなく、ノンストップでの増設が行えました」と森田 氏は語る。
システム構築面での工夫としては、PowerScale の自動階層化機能「SmartPools」を用いたデータ再配置を行っている点が挙げられる。「以前はA200 も制作業務に利用していましたが、今回からH5600とH500 を制作業務用、A200 をアーカイブ用として利用することにしました。半年間アクセスされなかったデータは、SmartPools の機能によって自動的にA200 に移行されます」と森田 氏は語る。また、同じくPowerScale の負荷分散機能「SmartConnect 」を活用し、重たい作業を行うユーザーを自動的に高速なノードに接続させるように設定。
こうした環境を整えることで、コスト要件と性能要件を両立させることに成功している。
「以前はプロジェクト毎のストレージ利用状況や性能状況などを把握するのに多くの手間が掛かっていました。これもPowerScale 導入後は、専用監視ツールの『InsightIQ 』を用いることで効率的に行えるようになりました」と森田 氏は語る。
今回のストレージ増強により、同社の映像制作業務にも数多くのメリットが生まれている。「特に大きいのが、パフォーマンスを飛躍的に改善できた点です。H5600 の導入前後で比較すると、ピーク時のスループットは約16Gbps から約70Gbps へと4 倍以上もアップ。平常時においても、約1.5 倍程度の性能向上が図れています」と森田 氏は語る。これにより大容量の4K 作品も、より快適かつ効率的に制作できるようになった。
また、もう一つ見逃せないのが、PowerScale の圧縮・重複排除機能「SmartDedupe」による容量削減効果だ。現在は実データに
対し約30% の容量を削減できているとのこと。森田 氏は「全体容量が大きいですから、その30% も削減できれば相当有効にリソースを活用できます」と満足げに語る。さらにスナップショット機能「SnapshotIQ 」も活用し、7 世代/ 1 週間分のデータを保護。万一ユーザーがデータを誤消去してしまった際にも、スピーディに対応できる環境を整えている。
「4K 時代に向けた高性能・大容量ストレージ基盤を整備するという点では、ひとまず目的は果たせたと考えています。とはいえ、今後も容量増加は続いていくでしょうし、新たな要望もいろいろ出てくることと思われます。我々としても、現場のニーズを見極めつつ、引き続き環境改善に取り組んでいきたい」と展望を語る倉地 氏。最先端の映像制作現場を、今後もPowerScale がしっかりと下支えしていく。
社名:株式会社デジタル・フロンティア (Digital Frontier Inc.)
設立年月日:2000年5月16日
資本金:31,458,000円
スタッフ数:250名(2020年4月現在)
本社所在地:東京都渋谷区桜丘町9-8 KN渋谷3ビル3F
事業概要:映像全般の企画・制作
https://www.dfx.co.jp/
株式会社デジタル・フロンティア
システム室 室長
倉地 忠彦 氏
株式会社デジタル・フロンティア
システム室
森田 誠 氏
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