
AIアプリの「見えないリスク」を可視化し防御する [F5 AI Red Team]
はじめに
前回の記事では、AIワークロードに関する4つの領域におけるF5ソリューションをご紹介しました。
- AIデータデリバリ
- AIファクトリー負荷分散
- AIマルチクラウドネットワーク
- AIランタイムセキュリティ
4つの領域の中でも、AIランタイムセキュリティは従来のWebアプリケーションセキュリティと大きく異なる領域であり、新たなアプローチが必要になります。
生成AIアプリは入力も出力も自然言語です。そのため、従来のWebアプリケーションセキュリティにおける構文(Syntax)ベースの手法だけではリスクを十分に評価できません。また、LLMは非決定論的な出力を生成します。そのため「何が危険なのか」を事前に完全に定義することも困難です。意味(Semantics)ベースのアプローチが必要になります。
重要になるのが、「AIモデルに対して自律的に攻撃を実施して評価する」というアプローチです。本記事では、生成AIアプリの脆弱性を、AIモデルに対して自律的に攻撃を実施して検出する「F5 AI Red Team」について、ご紹介します。
なぜAIに「Red Team」が必要なのか
従来のWebアプリケーションセキュリティにおける脆弱性検出手法では、以下のようなアプローチが主流でした。
- 静的解析(SAST)
- 動的解析(DAST)
- 脆弱性診断
- ペネトレーションテスト
生成AIアプリは以下のような特徴を持ちます。
- 自然言語の入力および出力
- 非決定論的な出力
- データや外部APIとの複雑な連携
- 自律的に動作するAIエージェント
このような特徴を持つ生成AIアプリに、従来のWebアプリケーションセキュリティにおける脆弱性検出手法だけでは、十分とは言えません。
OWASP(Open Worldwide Application Security Project)が提供するOWASP Top 10においても、生成AIアプリに関するリスクとしてOWASP Top 10 for Large Language Model Applications(LLM)が既に公開されています。
OWASP Top 10 for Large Language Model Applications
https://owasp.org/www-project-top-10-for-large-language-model-applications/
OWASP Top 10 for Large Language Model Applications日本語版
https://github.com/owasp-ja/Top10-for-LLM/tree/main
OWASP Top 10 for LLMのLLM01には「プロンプトインジェクション」、LLM06には「機微情報の漏洩」が挙げられています。「プロンプトインジェクション」は生成AI特有の新たな脅威の最たるものです。
これらの脅威に対するLLMの脆弱性を検出するには、従来のWebアプリケーションセキュリティにおける脆弱性検出手法だけでなく、実際にAIモデルに対し攻撃を行いながら評価することが重要です。
生成AIを利用する際、最初のプロンプトに対するレスポンスだけで終わらず、さらに追加のプロンプトを入力する、という会話のようなやりとり(マルチターンの会話形式)を行っていると思います。脆弱性の検出でも同様で、単発の攻撃で終わらず、会話のように繰り返し攻撃(マルチターン攻撃)することも必要になります。
これを実現するために、自律的にAIモデルに対して攻撃を実施し、自動でレポートとエビデンスを出力するソリューションが必要です。
F5 AI Red Teamとは
F5 AI Red Teamは、AIシステム向けに構成された敵対的テスト(Adversarial Testing)を継続的に提供します。単発のペネトレーションテストではなく、自律的にAIモデルに対して攻撃を実施し、レポートとエビデンスを出力します。
F5 AI Red Teamは以下のような特徴を持ちます。
毎月1万以上の最新攻撃パターンの提供
- 世界最先端のAI脆弱性データベースの活用
カスタム攻撃パターンの設定
- 自然言語で攻撃目的を設定(Agentic Warfare)
AIエージェントによる自律的な攻撃実行
- 人手では試せない膨大なパターンを短時間で試行
- マルチターン攻撃の実施
定期実行による継続的な脆弱性評価
- 即時での実行 or スケジュール設定での実行
レポートにて脅威の可視化
- 攻撃シナリオの可視化
- 攻撃プロンプトとレスポンスのエビデンス提供
F5 AI Red Teamで検出した脅威に対する防御は、F5 AI Guardrailsが担います。さらに、F5 AI Remediateによって、F5 AI Red Teamで検出した脅威に対してF5 AI Guardrailsのガードレール設定を自動で生成・適用する、といったことも実現できます。
F5 AI Red Teamの活用ケース
F5 AI Red Teamは以下のようなケースで活用することができます。
生成AIアプリのリリース前評価
- AI特有の攻撃に対する耐性評価
- データ漏洩リスクの確認
- API連携の安全性確認
本番環境での継続的セキュリティ評価
- 新たな脅威の検出
- ガバナンスからの逸脱の検出
- ガードレールの有効性確認
ガバナンス・監査対応
- セキュリティ評価レポートの作成
- リスクの可視化
- コンプライアンス証跡の確保
まとめ
生成AIアプリのセキュリティにおいて重要なのは、「脅威から防御する」だけではありません。非決定論的な挙動をする、マルチターンの会話形式を持つ、新たな脅威が存在する、といった特徴を持つAIモデルに対して、「脅威を検出する」ことが非常に重要になります。豊富な最新攻撃パターンを持ち、自律的にAIモデルに対して攻撃を実施できるF5 AI Red Teamは、生成AIアプリの「見えないリスク」を可視化します。
F5は、”Application Delivery and Security Platform”を掲げ、AIを含むあらゆるアプリケーションのデリバリ最適化、セキュリティ保護に関するソリューションを提供しています。生成AIアプリの公開(本番運用)へ進む企業にとって、F5は配信基盤とセキュリティの両面から支援を行います。
F5 AI Red Teamは、「あらゆるアプリケーションのデリバリ最適化、セキュリティ保護」という目標の実現を支える重要なコンポーネントとなります。
F5 AI Red Teamについて詳しく聞きたい場合は、以下フォームよりお気軽にご連絡ください。担当者よりご連絡させていただきます。



